SheSTEM Japanとは
SheSTEM Japanは、日本の競争力に直結する理系人材不足という構造課題に向き合い、 学びと社会をつなぐ「入口の設計」そのものを問い直す教育プロジェクトです。
私たちは、女子へのフォーカスを、単に「女性活躍支援」の話として切り出すのではなく、 進路選択の入口で起きやすい思い込みや離脱に着目した、実践的な入口設計のテーマとして捉えています。
女性活躍の観点から見ても、理系人材不足の観点から見ても、 共通して問われているのは、就業後の施策だけではなく、 もっと手前の学び・体験・進路選択の段階にどう関わるか、という上流の設計です。
日本は、理系分野に進む女性の割合が国際比較で低い一方、 学齢期の女子の学力は十分に高い水準にあります。
このギャップは、能力の問題ではなく、 進路選択の入口で起きている構造の問題を示しています。
背景には、
- 「理系は男子向き」といった無意識のバイアス
- 理系の仕事像を具体的に描ける体験・ロールモデルの不足
- 学びが社会や仕事とどうつながるかを実感しにくい教育構造
- 進路選択の途中で選択肢を狭めやすい環境要因
といった要因が重なり、理系への入口そのものが細くなっていると考えています。
学びを、社会につなぐ入口へ
多くの学びは、点数や偏差値、進学といった受験に目的が寄りやすく、 学ぶ意味が「その先の社会」に接続されにくい状態になりがちです。
その結果、
- 何のために学んでいるのか
- どんな仕事や社会の課題につながるのか
が、見えにくくなります。
SheSTEMが重視しているのは、 学びを「受験の準備」で終わらせず、 社会とつながる入口の体験へ変えていくことです。
試す。考える。言葉にする。
この繰り返しの中で、子どもは、
- 自分で問いを立てる
- 迷ったときに立て直す
- 他者や社会との関係の中で意味づける
といった力を自然に育てていきます。
これは、将来どの分野に進んでも必要になる 学びの土台であり、仕事につながる土台でもあります。
教育を「共育」に。
これまで、学びの入口は主に家庭・学校・民間教育が担ってきました。 一方で、企業は多くの場合、大学・高専・高校などの最終フェーズ、あるいは採用段階で初めて人材と向き合います。
しかし、日本の理系人材不足という構造課題に向き合うなら、 採用段階だけではなく、もっと上流の入口設計から関わる視点が必要です。
SheSTEMは、この課題を家庭や学校だけに任せるのではなく、 企業が未来の母集団づくりに主体的に関わる共育・共創モデルを提案していきます。
位置づけは、短期採用やCSRの延長ではなく、 10年後・20年後を見据えた人材供給への上流投資です。
人的資本・事業成長・競争力の観点から、 教育の入口に投資する新しい実践をつくっていきます。
データが示す日本の現状
- 日本では、理工系分野に進学する女性の割合は約16%にとどまり、OECD平均(約30%)と比べても低い水準にあります。
- 特に工学・製造・建築分野では女性比率が約15%と低く、国際比較でも大きな差が見られます。
- 一方で、学齢期の女子の学力は国際調査でも高く、PISA(OECD学習到達度調査)では日本の女子は数学・読解ともにOECD平均を上回る水準にあります。
出典:
OECD Education at a Glance
OECD Programme for International Student Assessment (PISA)
数字が示しているのは、能力の不足ではなく、進路の入口設計と社会接続の構造課題です。
SheSTEMがつくりたい入口
SheSTEMは、 「いい点数を取る」「いい学校に入る」ことだけをゴールにはしません。
学びを通じて、 社会や仕事との接点を持ち、 なぜ学ぶのかを自分の言葉で語れるようになることを大切にしています。
その入口を、STEMという分野を通じて設計しています。
女子へのフォーカスは、理系への進路選択で離脱しやすい層に対して、 選択肢を狭めない入口をつくるための実装です。
SheSTEM JapanとSDGsの関係
SheSTEM Japanの取り組みは、 SDGsの中でも特にゴール4・5・8と関係します。
ただし、SheSTEMの主軸はSDGsの説明そのものではなく、 日本の理系人材不足という構造課題に対する入口設計の見直しです。 SDGsは、その社会的意義を説明するための接続枠組みとして位置づけています。
SheSTEM Japanは、 教育・ジェンダー・企業を分断せず、 次世代の社会と仕事を支える人材の入口をひらく実践として、 具体的な行動に落とし込んでいきます。
代表挨拶|Message from the Founder
私は子どものころ、算数や数学は「好き」でも「得意」でもありませんでした。国語のテストが満点でも、算数の出来が悪いとあまり喜ばれなかった——その体験から、「国語ができるより、算数ができたほうがいいんだ」と劣等感を抱くようになりました。解けないたびに自信をなくし、算数がますます苦手になっていく感覚は、今でもよく覚えています。
だからこそ、「算数は苦手」「好きじゃない」と感じている子どもたちが、「もっと知りたい」「自分でもやってみたい」と思える関わり方をつくりたいと考えるようになりました。「わからない」「できない」をそのままで終わらせず、一緒に理由をさがし、興味や学びのきっかけに変えていく伴走者でありたい——そんな思いから、中学・高校の数学教員免許を取得しました。
大学では物理学を学び、理解できないことに向き合い続ける時間を過ごしました。わからないことを前にしたときの「不安」や「もやもや」を、急いで消すのではなく、手がかりを探しながら少しずつ前に進む。あの経験は、子どもたちに寄り添うときの原点になっています。
そんな思いを持ちながらも、進路は最後まで迷いました。教職に進むか、企業に就職するか。結果として私は、まず企業に就職しました。社会の現場を見て、働く人や組織、学びが求められる場面を知ったうえで教職に就くこともできる——そう判断したからです。 そして私は、雇用機会均等法第1世代として社会に出ました。同じ機会が広がる一方で、働き方の“基本形”はまだ一つだった時代です。その中で「平等に働く」ことを、自分なりに工夫しながら積み重ねてきた感覚があります。だからこそ、挑戦を続けるためには、本人の努力だけではなく、環境や関わり方の設計がとても大切だと実感してきました。
その後、教育や人が育つ環境づくりに関わる仕事を重ねる中で、「学びは才能だけで決まるものではなく、環境や関わり方で変わっていく」ことを確信するようになりました。また、国際的な教育の現場に触れるなかで、知識や正解の前に、「問いを立て、試し、組み立て直す力(非認知能力)」が、子どもの学びを支える土台になることも強く感じました。
こうした原体験と経験がつながり、立ち上げたのが SheSTEM Japan です。
幼いころ算数に苦手意識があったこと。学びの仕組みをつくる仕事をしてきた視点。国際教育の現場で見えた非認知能力の重要性。そして、女の子の選択肢が、苦手意識や周囲の思い込みによって早い段階で狭まってしまう前に、新しい可能性に出会える環境をつくりたいという思い。これらを背景に、私たちは活動しています。
SheSTEM Japan は、STEMを通じた学びの体験を通して、子どもたちが自分の好奇心を信じ、安心して次の一歩を選べること、そして性差によって選択肢が狭められることのない社会をめざします。
SheSTEM Japan 代表
後藤直子
代表プロフィール
後藤直子(SheSTEM Japan 代表)
大学で物理学を専攻。中学・高校 数学教員免許。企業で人材育成・組織づくり・教育事業に携わる。海外発のSTEM・非認知能力教育プログラムの日本向け設計・展開に関わった経験をもとに、SheSTEM Japan を立ち上げる。
▶ SheSTEM 公式YouTubeチャンネル
動画で見る「子どもと一緒に考える算数」


