SheSTEM Explorer は、コスメ、食べもの、からだの動きなど、子どもたちに身近で、将来の仕事や生き方にもつながるテーマを入り口にしたプログラム群です。

目指しているのは、問題が「できた/できなかった」で終わってしまう学び方ではなく、「わからない」をきっかけに、自分から一歩動き出せるようになること。
その一歩が積み重なっていくことで、学び続ける力や学習習慣が育っていくことを大切にしています。

こうして育まれる「継続力」「主体性」「自分で自分を整える力」は、将来社会に出たときの 社会人の非認知能力 の土台にもつながっていきます。

1. SheSTEM Explorerとは?

学び続ける力を育てるときに、大事にしたいのは、
目の前のことをよく観察して、「本当にそうかな?」と立ち止まり、自分なりの理由を持って考えてみることだと、私たちは考えています。

それは、教室の中だけで起こることではありません。
家族との会話、友だちとの関わり、習いごと、買い物やお手伝い、ニュースやSNS、地域の行事……。
子どもたちが毎日出会っている「生活の場面」や「人とのやりとり」のすべてが、本来はその練習の舞台になります。

こうした日常の一つひとつの場面には、
「どんな違いがある?」「なぜそう言える?」「別の見方はない?」という問いが、いつも潜んでいます。

SheSTEMでは、こうした問いに向き合うときに、
・比べてみる
・言葉にしてみる
・図やスケッチで整理してみる
・試して、直して、もう一度やってみる
といった「考え方の手順」を何度もたどることを大切にしています。

SheSTEM Explorer がめざしているのは、
「できた・できない」で終わらせず、「わからない」をきっかけに自分から一歩動き出す経験を重ね、その積み重ねが学び続ける習慣になっていくことです。

そのために、Explorer では大きく2つのシリーズを用意しています。
・学びと社会を具体的につなぐ「Lab Series」
・日常や将来の生き方と結びつける「Compass Series」

STEM Explorerプログラム全体像の図解:Lab SeriesとCompass Seriesの構成

2. SheSTEM Explorerの特徴

1)テーマが生活と社会に直結している

コスメボトル、パッケージ、レシピ、からだのバランス、橋や建物など、
日々の暮らしの中にあり、将来の仕事や社会の仕組みにもつながるテーマを扱います。

「これを学ぶと、どんなふうに人や社会の役に立てるのか」
「自分の生活やまわりの人の暮らしを、どう良くしていけるのか」
といったイメージにつながりやすい題材を選んでいます。

2)「小さなエピソード」として考える

ただ体験して終わるのではなく、ひとつひとつのテーマを小さなエピソードとして扱います。

・どんな場面で、何が問題になっているのか
・そこにどんな関わり方(仕事や役割)がありそうか
・自分だったらどうしたいか、もっとこうできるのではないか

といった視点から、「自分ごととして考える」ことを大事にしています。

3)学びと社会のあいだを行き来する

テストの点や受験のための勉強だけに閉じず、
「今学んでいることが、社会や仕事とどうつながるのか」
「これを理解すると、何ができるようになるのか」
という視点を、子どもにも保護者にも共有していきます。

分断されがちな「勉強」と「社会」を、行き来しながら考えられるようにすることが、Explorer の大きなねらいです。

4)子どもの「学び方」そのものにフォーカス

内容そのものよりも、
・どうやって考えたか
・どう確かめたか
・どう言葉や図にして伝えたか
というプロセスを振り返り、それを次の学びに生かすことを重視しています。

5)家庭・将来・コミュニケーションとつながる

授業の中だけで完結させず、
・家庭の日常(宿題・会話・役割分担など)
・進路やキャリアのイメージづくり
・バイアスへの気づきと、その乗り越え方
・リーダーシップやコミュニケーション
といったテーマとも自然につながるように設計しています。

3. Explorerの2つのシリーズ

3-1. Lab Series|学びと社会をつなぐ、エピソード型探究プログラム

Lab Series は、身近な題材を使って、
「自分ならどう関わるか」を具体的に考えていくエピソード型の探究プログラムです。

2026年度は、次の3つのLabからスタートします。

2026年度のLabシリーズ構成図:Beauty Design Lab・Food Science Lab・Motion & Balance Labの3つのLabからスタートすることを示した図

Beauty Design Labのアイコン(コスメボトル) Beauty Design Lab(ビューティーデザイン・ラボ)

コスメボトルやパッケージ、広告のビジュアルなどを題材に、
「キレイ」「高級感」「やさしさ」「かわいらしさ」といった印象と、
形・バランス・構造の関係を考えていきます。

Food Science Labのアイコン(ボウルと野菜) Food Science Lab(フードサイエンス・ラボ)

ジュースや料理の「おいしい」「きれいな色」「ちょうどいい量」といった感覚を入り口に、
分量や組み合わせ、変化の工夫を考えていきます。

Motion & Balance Labのアイコン(バランスよくサーフィンをするシルエット) Motion & Balance Lab(モーション&バランス・ラボ)

からだの動き、スポーツ、橋や建物、ロボットなどをテーマに、
「ぐらつく」「安定する」という感覚と、形や支え方のしくみを結びつけて考えていきます。

どのLabも、「体験して終わり」ではなく、
エピソードごとに、次の3つのQuestの流れをたどるように設計されています。

Quest 1「気づく」のアイコン Quest 1「気づく」:いろいろな違いに気づき、問いを立てる回
Quest 2「つくる・ためす」のアイコン Quest 2「つくる・ためす」:自分なりの仮説を立てて、手を動かして試してみる回
Quest 3「つたえる」のアイコン Quest 3「つたえる」:工夫した点や気づきを、言葉や図で人に伝える回

1つのLabが3つのQuest(気づく・つくる・ためす・つたえる)で構成されていることを示した図解

各Labは、複数のEpisode(エピソード)で構成されます。
ひとつのEpisodeは、上記の3つのQuestで完結する“小さな探究ストーリー”です。
Labによって、Episodeが1つのものもあれば、2つ・3つと続いていくものもあります。

Labプログラムは、企業や大学・自治体と連携したExplorer Co-Labとして実施することもあります。
実社会で求められている視点を取り入れながら、子どもたちのアウトプットを社会とつなげていくプログラムです。

3-2. Compass Series|学び方と生き方の「コンパス」をつくるシリーズ

Compass Series は、子どもと保護者、そして周りの大人たちが、
「どう学ぶか」「どう生きたいか」を一緒に考えるためのシリーズです。

扱うテーマは、たとえば次のようなものです。
・家庭の日常の中での学び方(宿題との向き合い方、声かけ、失敗との付き合い方 など)
・進路やキャリアのイメージづくり(どんな働き方があるのか、自分は何に価値を感じるのか)
・バイアスとの向き合い方(「女の子らしさ」にしばられすぎず、「自分らしさ」を見つけていく視点)
・リーダーシップやコミュニケーション(自分の考えを伝える/違う意見の人と協力する など)

Compass Series は、
自分と他者、今と将来との関係を整理しながら、自分のコンパスをつくるプログラム群です。

Compass Series 全体構成図:Home・Class・Initiative のつながりを示した図解

SheSTEM Compass Homeのアイコン SheSTEM Compass Home|家庭学習教材・保護者向けガイド

・家庭で一緒に取り組めるワークや問いかけカード
・保護者向けの読み物(学びの声かけ、バイアスへの気づき、失敗の受け止め方など)
・Labでの体験が、家の日常会話につながるようなヒント集

SheSTEM Compass Classのアイコン SheSTEM Compass Class|YouTube・オンラインクラス

・短い動画で届ける「学び方・ものの見方」のヒント
・会員向けオンラインクラス(子ども向け/保護者向け)
・ニュースや身近な出来事を題材に、「どう考えるか」を一緒に整理する時間

SheSTEM Compass Initiativeのアイコン SheSTEM Compass Initiative|ガールズイニシアティブ&保護者向けプログラム

・女の子たちが、自分の興味や得意・苦手、将来やってみたいことを言葉にしていくワークショップ
・「女の子だからこうあるべき」というイメージに気づき、それを「自分らしさ」に変えていくためのセッション
(バイアスそのものを悪者にするのではなく、気づいて乗り越えていく場)
・プレゼンテーションや対話の場を通じて、リーダーシップやコミュニケーションの土台を育てるプログラム
・保護者向けには、子どもの選択肢を狭めないための対話のヒントを共有する講座 など

4. Explorerで育てたい力

SheSTEM Explorer を通して、特に大切にしているのは次のような力です。

  • 自分のセンサーで「おかしい」「おもしろい」に気づく力
  • 「なぜ?」「どうして?」を、自分の頭で考え続けてみる力
  • 試しながら、失敗もしながら、自分なりのやり方を見つけていく力
  • そのプロセスや考えを、人に伝え、対話していく力

そして何よりも、

「わからない」に出会ったとき、そこで止まるのではなく、自分から一歩動き出す経験を重ねていくこと。

その積み重ねが、将来どんな道に進んでも支えになる学び続ける力・学習習慣につながると考えています。