SheSTEM Japanとは
SheSTEM Japanは、日本の競争力に直結する理系人材不足を、 女性活躍の文脈から「入口の設計」そのものを問い直す教育プロジェクトです。
日本はOECD諸国の中でも、理系分野に進む女性の割合が極めて低い国です。 一方で、国際的な学力調査を見ると、日本の女子児童は算数・理科において高い水準にあります。
このギャップは、能力や努力の問題ではないことを示唆しています。
背景には、
- 「理系は男子向き」といった無意識のジェンダーバイアス
- 将来像を描くためのロールモデルや体験機会の不足
- 学びが、社会や仕事とどうつながるのかが見えにくい教育構造
といった要因が重なり、 理系への入口そのものが細くなっている現状があると考えられます。
学びを、社会につなぐ入口へ
多くの学びは、点数や偏差値、進学といった受験が目的になりがちです。
その結果、
- 何のために学んでいるのか
- 社会でどう使われるのか
が、見えにくくなってしまいます。
SheSTEMが重視しているのは、 学びを「進路のための準備」で終わらせず、 社会とつながる入口の体験へと変えていくことです。
試す。考える。言葉にする。
この繰り返しの中で、子どもは、
- 自分で問いを立てる
- 迷ったときに立て直す
- 他者や社会との関係の中で意味づける
といった力を自然に身につけていきます。
これは、将来どの分野に進むとしても必要となる 非認知能力の土台です。
教育を「共育」に。
これまで、学びは学校や家庭、民間教育が担ってきました。 一方で、その成果を受け取る企業は、 (大学や高校といった制度教育の最終フェーズで) 採用の段階で初めて子どもたちと出会います。
人材の競争力や採用の母集団の広がりを考えるなら、 企業自身が、10年後の人材採用を見据えて教育の入口から関わる視点が 必要ではないでしょうか。
SheSTEMは、この課題を家庭や学校だけに任せるのではなく、 企業が未来の母集団づくりに主体的に関わる 共育・共創モデルを提案していきます。
短期的な採用やCSRではなく、 10年後、20年後を見据えた人材投資としての教育です。
それは、 教育 × ジェンダー × 企業共創による次世代への投資であり、 SheSTEMが考える女性活躍3.0の形です。
データが示す日本の現状
- 日本の理系分野における女性比率は、OECD加盟国の中で最下位水準
- 工学・技術系分野に進学する女子学生の割合は約16〜18%
- 一方、PISA等の国際学力調査では、日本の女子児童は数学・理科ともに高水準
(出典:OECD Education at a Glance、PISA調査)
数字が示しているのは、 能力の問題ではなく、構造の問題です。
SheSTEMがつくりたい入口
SheSTEMは、 「いい点数を取る」「いい学校に入る」ことをゴールにはしません。
学びを通じて、 社会や仕事との接点を持ち、 なぜ学ぶのかを自分の言葉で語れるようになることを 大切にしています。
その入口を、STEMという分野を通じて設計しています。
SheSTEM JapanとSDGsの関係
SheSTEM Japanの取り組みは、 SDGsの中でも特にゴール4・5・8と深く関わっています。
SDGsゴール5は、 “Achieve gender equality and empower all women and girls.” (ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女子児童をエンパワーメントする) と定義されています。
近年、国連はこのゴールにおいて、 成人女性だけでなく、女子児童・若年女子(girls)への 教育機会やエンパワーメントが不可欠であることを明確にしています。
SheSTEM Japanは、 教育・ジェンダー・企業を分断せず、 次世代の社会と仕事を支える人材の入口をひらく実践として、 SDGsの理念を具体的な行動に落とし込んでいきます。
代表挨拶|Message from the Founder
私は子どものころ、算数や数学は「好き」でも「得意」でもありませんでした。国語のテストが満点でも、算数の出来が悪いとあまり喜ばれなかった——その体験から、「国語ができるより、算数ができたほうがいいんだ」と劣等感を抱くようになりました。解けないたびに自信をなくし、算数がますます苦手になっていく感覚は、今でもよく覚えています。
だからこそ、「算数は苦手」「好きじゃない」と感じている子どもたちが、「もっと知りたい」「自分でもやってみたい」と思える関わり方をつくりたいと考えるようになりました。「わからない」「できない」をそのままで終わらせず、一緒に理由をさがし、興味や学びのきっかけに変えていく伴走者でありたい——そんな思いから、中学・高校の数学教員免許を取得しました。
大学では物理学を学び、理解できないことに向き合い続ける時間を過ごしました。わからないことを前にしたときの「不安」や「もやもや」を、急いで消すのではなく、手がかりを探しながら少しずつ前に進む。あの経験は、子どもたちに寄り添うときの原点になっています。
そんな思いを持ちながらも、進路は最後まで迷いました。教職に進むか、企業に就職するか。結果として私は、まず企業に就職しました。社会の現場を見て、働く人や組織、学びが求められる場面を知ったうえで教職に就くこともできる——そう判断したからです。 そして私は、雇用機会均等法第1世代として社会に出ました。同じ機会が広がる一方で、働き方の“基本形”はまだ一つだった時代です。その中で「平等に働く」ことを、自分なりに工夫しながら積み重ねてきた感覚があります。だからこそ、挑戦を続けるためには、本人の努力だけではなく、環境や関わり方の設計がとても大切だと実感してきました。
その後、教育や人が育つ環境づくりに関わる仕事を重ねる中で、「学びは才能だけで決まるものではなく、環境や関わり方で変わっていく」ことを確信するようになりました。また、国際的な教育の現場に触れるなかで、知識や正解の前に、「問いを立て、試し、組み立て直す力(非認知能力)」が、子どもの学びを支える土台になることも強く感じました。
こうした原体験と経験がつながり、立ち上げたのが SheSTEM Japan です。
幼いころ算数に苦手意識があったこと。学びの仕組みをつくる仕事をしてきた視点。国際教育の現場で見えた非認知能力の重要性。そして、女の子の選択肢が、苦手意識や周囲の思い込みによって早い段階で狭まってしまう前に、新しい可能性に出会える環境をつくりたいという思い。これらを背景に、私たちは活動しています。
SheSTEM Japan は、STEMを通じた学びの体験を通して、子どもたちが自分の好奇心を信じ、安心して次の一歩を選べること、そして性差によって選択肢が狭められることのない社会をめざします。
SheSTEM Japan 代表
後藤直子
代表プロフィール
後藤直子(SheSTEM Japan 代表)
大学で物理学を専攻。中学・高校 数学教員免許。企業で人材育成・組織づくり・教育事業に携わる。海外発のSTEM・非認知能力教育プログラムの日本向け設計・展開に関わった経験をもとに、SheSTEM Japan を立ち上げる。
▶ SheSTEM 公式YouTubeチャンネル
動画で見る「子どもと一緒に考える算数」


