SYSTEM 1
素早く、自動的に判断する
システム1は、意識して考えなくても自動的に働きます。 日常の多くの判断は、このシステム1によって支えられています。
たとえば
- 突然、大きな音がして振り向く
- 飛んできたボールをよける
- 相手の表情から感情を読み取る
- 「2+2」を見て、すぐに「4」と答える
- 読み慣れた言葉を、意識せずに読む
危険を察知し、慣れた行動を素早く行うために、 生きるうえで欠かせない働きです。

私たちは日々、たくさんの情報を瞬時に判断しています。
その多くは「考える前に反応している」ような、無意識の思考によるものです。
このような無意識の思考に影響を与える「思い込み」や「先入観」を、 アンコンシャス・バイアス(Unconscious Bias)=無意識のバイアスと呼びます。
こうした言葉に明確な悪意がなくても、知らないうちに“当たり前”だと感じてしまうことがあります。 それが、無意識の思い込み=アンコンシャス・バイアスです。
家庭での会話、学校で任される役割、メディアで目にする人物像、 失敗したときにかけられる言葉など、日常のさまざまな経験が重なることで、 「自分に向いていること」「自分には難しいこと」という認識が少しずつ形づくられていきます。
学びの経験、教科への自己評価、周囲の言葉、社会で目にする役割や職業像は、 成長の中で少しずつ重なっていきます。
私たちは毎日、目に入るもの、聞こえる音、人の表情、周囲の状況など、
非常に多くの情報を受け取っています。
人の思考には、素早く自動的に判断する「システム1」と、
注意を向けて考える「システム2」という、性質の異なる2つの働き方があります。
SYSTEM 1
システム1は、意識して考えなくても自動的に働きます。 日常の多くの判断は、このシステム1によって支えられています。
危険を察知し、慣れた行動を素早く行うために、 生きるうえで欠かせない働きです。
SYSTEM 2
システム2は、すぐには答えが出ないことを考えるときに働きます。 注意と時間が必要なため、日常のすべての判断で使われるわけではありません。
情報や根拠を確かめることで、 最初に浮かんだ判断を見直すことができます。
システム1は、これまでの経験や、繰り返し見聞きしてきた言葉・イメージを手がかりに判断します。 そのため、「科学者やエンジニアは男性」「理系や技術は男子が得意」といった社会的なイメージも、 本人が意識しないまま判断の材料になることがあります。 このように、意識して考える前の判断に影響する思い込みや先入観が、アンコンシャス・バイアスです。
同じ出来事でも、最初の印象だけで判断する場合と、 情報を確かめる場合では、見えてくることが変わります。
「算数が苦手なのかもしれない」
「文系のほうが向いているのかもしれない」
情報を確かめることで、「算数が苦手な子」という評価ではなく、 「割合の意味を捉えるところでつまずいている」など、必要な支援が具体的に見えてきます。
※システム1とシステム2は、脳の中に独立した2つの部位があるという説明ではなく、 人の判断や思考の働きを理解するための考え方です。
アンコンシャス・バイアスには、さまざまな種類があります。 ここでは、子どもの教科への自己評価や将来の選択に影響しやすいものを紹介します。
「理系は男子向き」「女性は文系が得意」など、 集団に対するイメージを個人にも当てはめてしまうことです。
自分がもっている考えに合う情報を集め、 反対の情報を見落としやすくなることです。
「算数が苦手な子」「理系ではない子」など、 一度ついた評価によって、その後の見方が固定されることです。
最初のテスト結果や最初に受けた評価に引っ張られ、 その後の成長を十分に捉えにくくなることです。
「周囲もそう考えている」「女子はあまり選んでいない」という状況から、 それが適切な選択だと感じることです。
自分と似た経験や考え方をもつ人を理解しやすく、 無意識に高く評価することです。
教員、保護者、専門家などの言葉を強く受け取り、 自分自身の関心や可能性より優先してしまうことです。
子どもが何に触れ、失敗したときにどのような言葉を受け取り、 活動の中でどのような役割を任されるか。 一つひとつの関わりが、教科への自己認識や将来像に影響します。
ブロック、工作、工具、実験、パソコンなどに触れる機会があることで、 数や空間、技術への親しみが育ちます。
間違いを能力の評価で終わらせず、 どこまで考えたか、次に何を試せるかを一緒に確認します。
記録、発表だけでなく、操作、設計、計測、分析など、 多様な役割を経験できるようにします。
STEM分野で働く多様な女性や、 教科学習が社会や仕事につながる場面に触れる機会をつくります。
女子が理系を選択肢から外していく過程を捉えることで、 どの段階で、どのような関わりが必要なのかを考えることができます。
数、形、空間、観察、ものづくりに触れ、 試したり考え直したりできる経験を増やします。
正解の速さだけでなく、関係を捉えること、 根拠を説明すること、複数の考え方を認めます。
「分からない」を能力の限界と結びつけず、 つまずいた場所と次に試す方法を具体的にします。
STEM分野の多様な女性や仕事に触れ、 教科と社会とのつながりを知る機会をつくります。
現時点の得意・不得意だけで判断せず、 本人の関心と意思をもとに複数の選択肢を検討します。
日常の声かけや判断の中にあるアンコンシャス・バイアスを、 「気づく」「選びなおす」の2部構成で解説しています。
第1部から順に見ると、日常の言葉や判断を整理しやすくなります。
ハーバード大学の研究プロジェクト「Project Implicit」では、 無意識の連想傾向を確認するIAT (Implicit Association Test)を体験できます。
SheSTEM Japanでは、女子STEM離れを個人の関心や能力だけで捉えず、 成長の中で重なる経験、周囲との関わり、自己認識、社会的なイメージのつながりから分析しています。
アンコンシャス・バイアスは、誰もがもつ認知の働きです。
大切なのは、自分の判断に思い込みや先入観が影響していないかを確かめ、
必要に応じて見直すことです。
子どもの関心や可能性を、性別や過去の評価だけで決めず、
本人が問い、試し、考えながら選べる環境をつくる。
SheSTEM Japanは、調査と教育設計の両面からその環境づくりを進めています。