第1回「かたちの科学」実験とデザイン制作の様子|倒れない美しさを算数で体感

📌 PBL実践例について

本ページでは、Beauty Design Labの Beauty × DesignのPBL実践例として、 身近なボトルや容器を題材にした探究学習をご紹介します。
現在は、企業・自治体・教育機関との協賛・共創プログラムを中心に企画しています。

Beauty × Design|PBL実践例

「なぜ、この形なんだろう?」から始める

普段何気なく使っているボトルや容器にも、 さまざまな理由があります。

高さ、幅、底の形、持ちやすさ、安定性、中身の出しやすさ、 そして「きれい」「使ってみたい」と感じる見た目。

このPBLでは、最初から「正しいボトルの形」を教えません。 実物を見て、触って、比べるところから始め、 子ども自身が気づいたことから問いを立てます。

その問いを、算数や理科の見方を使って考え、 最後は自分なりのデザインをCADとして形にしていきます。

身近なボトルの形や機能を観察しCAD設計へつなげるBeauty Design LabのPBL実践例

このPBLで経験する探究プロセス

大人が一つの正解へ導くのではなく、 子どもが自分の気づきから問いを持ち、 試しながら考えを更新していきます。

👀
観察する
気づく

自分の問いを
立てる
🧠
仮説を
持つ
📏
比べる
確かめる
🧩
考えを
つなげる
💻
CADで
設計する
🔄
見直す
再設計する
💬
伝える
振り返る

探究は一直線には進みません。
試してみて予想と違えば問いや仮説に戻り、 他者の視点を受けて設計を見直します。

▶ SheSTEMの探究学習について詳しく見る

まず、見る・触る・比べる

形の異なる複数のボトルや容器を実際に観察します。

👀 見る

高さや幅、底の形、上下のバランスなど、 見た目の違いに気づきます。

✋ 触る

実際に持つ、置く、傾けることで、 見ただけでは分からない違いを探します。

🔍 比べる

「何が違うのか」「なぜ違うのか」と、 複数のものを比較します。

大人が答えを教えるのではありません。
「何が違う?」「気になるところはどこ?」「なぜこの形だと思う?」と問い返し、 子ども自身の気づきを引き出します。

全員が、同じ問いを解くわけではない

観察から生まれた気づきをもとに、 一人ひとりが自分の探究する問いをつくります。

安定性が気になったら 高さと底の広さは、安定性にどう関係する?
使いやすさが気になったら 手に持ちやすい形には、どんな特徴がある?
デザインが気になったら 美しく見える形と、使いやすい形は両立できる?
環境が気になったら 材料を減らしながら、使いやすい形にできる?

大人は問いを代わりにつくるのではなく、 「何と何を比べる?」「どうしたら確かめられそう?」と問い返し、 子どもの疑問を探究できる問いへ深める支援をします。

つくる前に、「こうなるのでは?」と考える

自分の問いに対して、 今持っている知識や経験から仮説を立てます。

「底が広いほうが安定するのでは?」
「真ん中が細いほうが持ちやすいのでは?」
「高さと幅のバランスで、見たときの印象が変わるのでは?」

正解することが目的ではありません。

「私は、なぜそう考えたのか」を、 言葉やスケッチで記録します。 この最初の考えが、探究後の変化を見るためのBeforeになります。

自分の問いを考えるために、算数・理科を使う

問いを確かめようとすると、 算数や理科の見方が必要になります。

📐 算数の見方

  • 高さ・幅・奥行き
  • 長さ・面積
  • 比や割合
  • 対称
  • 立体図形
  • 位置関係
  • 正面・横・上から見た形
  • 数量による比較

🔬 理科の見方

  • 重力
  • 重心
  • バランス
  • 支える面
  • 力を加えたときの動き
  • 形と機能の関係
  • 素材の特徴

例えば「安定性を比べたい」と思えば、 高さや底の広さを見る必要が出てきます。

「持ちやすさを考えたい」と思えば、 手の大きさや指の位置、形や幅を考える必要があります。

教科を学んでから使うだけではなく、 自分の問いをもっと確かめたいから、算数や理科の見方を使う。
Beauty Design Labでは、この経験を教科学習への動機づけにつなげます。

▶ 探究学習とSTEMのつながりについて詳しく見る

Tinkercadで、自分の考えを立体として形にする

観察し、問いを立て、算数や理科の見方を使って考えたことを、 次は実際の「形」として表していきます。

そこで使うのが、 Tinkercad です。

Tinkercadとは?
Tinkercadは、パソコンやタブレットの画面上で、 立方体や円柱などの基本的な立体を組み合わせながら、 3Dの形をつくることができるCADツールです。

高さ・幅・奥行きなどを数値で変えたり、 正面・横・上などさまざまな方向から形を確認したりしながら、 頭の中で考えたアイデアを立体として表すことができます。

Beauty Design Labでは、Tinkercadの操作方法を覚えること自体が目的ではありません。

自分が立てた問いや仮説をもとに、 「この部分を広くしたらどうなる?」 「高さを変えたら、見え方やバランスはどう変わる?」 と考えながら、形をつくり、見直し、もう一度変えていきます。

紙に描いたスケッチだけでは見えにくかった形も、 3Dにすることで別の方向から確認できます。 考えたことを外に出して、確かめ、修正するための道具としてCADを使います。

🎥 Tinkercadでは、こんなふうに立体をつくります

基本的な立体を組み合わせ、向きを変えながら形を確認し、 自分の考えたデザインを3Dで組み立てていく様子をご覧いただけます。

📐 形を捉える

正面・横・上から見ながら、 立体の形や位置関係を確かめます。

🔢 数量で調整する

高さ・幅・奥行きなどを数値で変え、 形のバランスを比較します。

🔄 考えを更新する

実際に立体にして気づいたことから、 最初の設計を修正します。

「きれいな形を自由につくる」だけではありません。
自分の問いや仮説に対して、 「なぜこの形にするのか」という根拠を持ちながら設計します。
Tinkercadは、その考えを目に見える形にし、 別の角度から検討するために使います。

立体をさまざまな方向から捉え、 頭の中で向きや位置関係を考える経験は、 メンタルローテーション や空間認識ともつながっています。

つくって終わりではなく、見直し、再設計する

CADで形にしたら、 自分の最初の仮説に戻ります。

🔍 確認する

正面・横・上から見て、 自分の考えた条件を満たしているか確認します。

🧪 確かめる

必要に応じて実物のボトルや簡単な模型を使い、 比較や試行を行います。

🔄 変える

予想と違ったことや新しい気づきをもとに、 CADの形や寸法を修正します。

Tinkercad自体は、安定性などを物理的に検証するシミュレーターではありません。 そのため、CADで形や寸法を比較しながら、 必要に応じて実物や模型による試行も組み合わせます。

他者の視点から、自分の考えを更新する

途中で、自分の設計を他の人に見せます。

「なぜ、ここを細くしたの?」
「これを持ったら、どうなる?」
「上から見るとどんな形?」
「本当に最初の問いに答えている?」

質問されることで、 自分では気づかなかった条件が見えてきます。

Beauty Design Labでの協働は、 ただ一緒に作業することではありません。

他者の視点を受けて、自分の考えを見直し、更新すること も大切な学びとして捉えます。

完成した作品ではなく、探究前後の変化を見る

このPBLでは、完成したボトルの上手さや見た目だけを評価しません。

8つの探究ルーブリックから、 その子自身のBefore/Afterを見ます。

❓ 問い
🧠 仮説
🔍 分析
🧩 統合
💬 表現
🤝 協働
✨ 創造
🔁 省察
BEFORE

「このボトルがいい」
「なんとなく安定しそう」

まだ見た目や感覚を中心に考えている状態。

AFTER

「最初は底が広ければ安定すると思っていたけれど、 高さとの関係もあると気づいた。 だから幅だけでなく高さも変えて、 見た目とのバランスを考えて設計を修正した」

ここで見ているのは、

  • 問いが具体的になったか
  • 仮説に根拠が生まれたか
  • 複数の条件を比較できるようになったか
  • 算数や理科の見方を使ったか
  • 他者の視点から考えを更新したか
  • 自分の考えを根拠とともに説明できるようになったか

という、思考プロセスの質的な変化です。

▶ 8つのルーブリックによる探究学習の評価・可視化について詳しく見る

このPBLで特に動く「思考のOS」

ボトルデザインの探究では、 特に空間・構造・数量に関わる認知能力を強く使います。

  • 📐 空間根拠力
    立体を正面・横・上から捉え、 形や位置関係を根拠に考える。
  • 🧩 構造視覚推論
    見えている形から、 安定性や使いやすさの背景にある構造を推論する。
  • 🔢 数量・数理の中核
    高さ、幅、比率、寸法などを使って、 感覚だけではなく数量関係として考える。
  • 👀 気づく力
    形や使い方の違い、不便や特徴に気づく。
  • 🔄 実行ロジック機能
    問い、仮説、試行、修正を行き来しながら進める。
  • 💬 意味表現力
    自分の設計意図や根拠を、言葉・図・CADで伝える。
SheSTEM Japanの6つの思考のOS

▶ 6つの思考のOSについて詳しく見る

自分が使った考え方は、社会の仕事にもつながっている

一つのボトルや容器にも、 さまざまな専門性や仕事が関わっています。

🎨 デザイン

プロダクトデザイン
パッケージデザイン
UX

📐 設計・技術

CAD設計
材料開発
製造・品質評価

💡 商品をつくる

商品企画
研究開発
新しい価値の提案

PBLの中で自分が行った、 観察する、比べる、条件を考える、設計する、試す、改善する というプロセスは、 実際のものづくりや研究・開発の仕事でも使われています。

企業・自治体・教育機関との共創で実施できます

このボトルデザインPBLは、 Beauty × Designの実践モデルの一つです。

実際の共創プログラムでは、 企業の商品や技術、地域の産業や課題に合わせて、 観察する対象や探究テーマを組み替えて設計します。

🏢 企業共創

商品・技術・仕事を、 子どもが探究できるPBLへ変換します。

🏫 学校・自治体

地域課題や教育テーマに合わせた 探究プログラムとして設計します。

🎓 インターンシップ

大学生や内定者が、 PBLの設計・伴走・振り返りに参加する形にも展開できます。

Beauty Design LabのPBLについて

本プログラムは、企業・自治体・教育機関のテーマに合わせて、 探究内容を設計することができます。