最近よく聞く「非認知能力」って何?

習いごと、学校説明会、情報サイトでもよく出てくる言葉。
でも、なんだか難しそう…という方も多いと思います。

非認知能力とは、「テストに出ないけれど、学びや成長の土台になる力」 のことです。

🟦 まずは“2つの力”のちがいから

● 認知能力(=見える力)

テストで測れる力

  • 計算
  • 漢字
  • 語彙
  • 理科・社会の知識
  • いわゆる成績・偏差値
認知能力の図

● 非認知能力(=見えない力)

テストに出ないけれど、学びの土台になる力

  • 粘り強さ
  • 集中力
  • 自信
  • 試行錯誤する力
  • ものごとを整理する力
  • 人と協力できる力
非認知能力の図

氷山にたとえると、
水面上に見えるのが認知能力
水面下を支える土台が非認知能力 です。

氷山モデルの図。水面上が認知能力、水面下が非認知能力として描かれている。

🟦 なぜ今、非認知能力がこれほど大事にされているの?

理由はとてもシンプルです。

👉 これからの時代は、正解が“ひとつではなく”、まだ“決まっていない”問題が増えているから。

昔の社会は、「このやり方が正しい」「この手順で進めればOK」という“決まった正解”がありました。でも今は違います。

時代や技術の変化が速く、「学び切ったら終わり」ではなく、「学び続けること」が前提になっています。 そのとき土台になるのが、あきらめずに考え続ける力・新しいことに手を伸ばす力・人と協力して前に進む力といった非認知能力です。

非認知能力は、いわば「学習行動のエンジン」です。宿題に向かう/もう一度やり直してみる/わからないことを質問する――こうした日々の小さな行動を支え、その積み重ねが学習習慣「学び続けようとする姿勢」へと育っていきます。

🟦 正解が“ひとつではない”時代に

SDGsが象徴するように、社会はとても複雑な問題を抱えています。

  • 地球を守りながら、生活を便利にするには?
  • 個人情報を守りながら、AIを使うには?
  • 会社が利益を出しながら、社会課題も解決するには?

どれも「これが絶対の正解」がありません。国や人によって価値観も状況も違います。

複雑な社会課題と多様な価値観を表す図。正解がひとつではない時代を示すイメージ。

🟦 だから必要なのが「考え続ける力」と「学び続ける力」

正解が決まっていない時代では、“答えを早く当てる力”だけでなく、 自分で考え続ける力・新しいことを学び続ける力・人と相談しながら答えをつくっていく力が大切になります。

  • すぐあきらめない
  • 試してみる
  • 間違いから立て直す
  • 人と相談して決める
  • 自分の意見を持つ
  • 状況に合わせて考え方を変える

これらがすべて、非認知能力です。

考え続ける力を表すイラスト。試行錯誤・相談・意見形成など非認知能力のイメージ。

🟦 学校教育もこの方向に動いています

● 中学入試

答えを書く“だけ”ではなく、次の力が問われています:

  • 考え方
  • 試行錯誤
  • 読み解く力
  • 自分の考えをまとめる力

● 高校・大学入試

探究・プレゼン・記述が増え、「自分で考える」「自分の言葉で伝える」力を重視。

学校教育が重視する思考力・探究・社会人基礎力を表す図

● 企業の採用

経産省の「社会人基礎力」は、まさに非認知能力の集合体。将来の仕事の現場でも、知識そのもの以上に「どう学び続けるか・どう協働するか」が問われています。

🟦 実は、非認知能力と“算数”はとても相性がいい

算数は、

  • 考える
  • 試す
  • まちがえる
  • やり直す
  • ひらめく

この小さなプロセスの積み重ねが、 粘り強さ・試行錯誤・考え方の整理・自己効力感 を育てます。 そしてそれが、「自分から学びに向かう行動」や「学び続けようとする姿勢」「学習習慣」へとつながっていきます。

算数が非認知能力を育むプロセスを示す図。考える・試す・やり直すなどのイメージ。

🟦 家庭で今日からできること

  • ① 「やり方」をほめる:「読んで考えたね」「工夫したね」など、プロセスを評価。
  • ② すぐに答えを教えない:30秒待つだけで、考える力が伸びる。
  • ③ 間違いは“素材”にする:「どうしてそう思った?」と一緒に整理する。

🟦 まとめ

これまでの教育:正解を早く・正確に出す力が中心。
これからの教育:正解が決まっていない中で、考え続けていく力・学び続けていく力が重要に。

そのとき鍵になるのが、見えないけれど一生使える力=非認知能力です。 非認知能力は、学習行動を支え、その積み重ねが学習習慣や「学び続けようとする姿勢」へと育っていく土台として、 お子さまのこれからの学びとキャリアを支えていきます。

正解をつくっていく力や非認知能力の重要性を示すまとめイメージ図