フェルミ推定|見当をつけて考えていく

大きな数と数式を背景に、フェルミ推定で数量の見当をつける考え方を表した画像

「どのくらいあるのだろう?」

そう思っても、すぐには数えられないものがあります。

たとえば、瓶の中に入っているキャンディの数。
学校全体で1日に使われる水の量。
地域で1年間に出るごみの量。
イベントに必要な椅子の数。

こうしたものは、すぐに正確な数字が分からないことがあります。

でも、「このくらいかな?」
と見当をつけて考えることはできます。

このように、一見そのままでは捉えにくい数を、自分が見当をつけられるサイズに置き直し、そこから全体のおよその数を導きだす手法を、フェルミ推定といいます。

フェルミ推定とは

フェルミ推定とは、正確なデータがすぐにないときに、考えられるサイズからおよその数を見積もっていく考え方です。

たとえば、TED-Edの “A clever way to estimate enormous numbers” では、瓶の中のキャンディの数や、「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」という問いが紹介されています。TED-Edでは、エンリコ・フェルミが10のべき乗を使い、大きな数を素早く見積もったことも紹介されています。

フェルミ推定は、すぐには捉えにくい数を、まず考えられる大きさから見ていき、そこから全体のおよその数に見当をつける方法です。

フェルミ推定の名前の由来

フェルミ推定という名前は、物理学者 エンリコ・フェルミ に由来します。

エンリコ・フェルミは、1938年にノーベル物理学賞を受賞したイタリア出身の物理学者です。ノーベル財団の公式ページでは、中性子照射による人工放射能や、遅い中性子による核反応に関する業績が紹介されています。

フェルミは、限られた情報からおよその数を見積もることに優れていたことで知られています。
その考え方は、現在でも物理や工学だけでなく、ビジネスや教育の場でも活用されています。

考えられる大きさから全体の見当をつける

フェルミ推定では、問いを自分が考えられるサイズに置き直します。

たとえば、
「瓶の中にキャンディが何個あるか」
をそのまま考えると、数が多くて捉えにくくなります。

そこで、まずは自分が捉えられるところから考えていきます。

例えば、1粒の大きさはどのくらいか。
横に何個くらい入りそうか。
奥に何個くらい入りそうか。
高さに何個くらい重なりそうか。

このように、捉えられる大きさから見ていくことで、全体のおよその数に見当をつけることができます。

たとえば、

横に10個くらい。
奥に10個くらい。
高さに15個くらい。

と見ることができれば、

瓶の中のキャンディを例に、1粒を手がかりに横・奥・高さを見積もり、およその数を考えるフェルミ推定の説明図
10個くらい × 10個くらい × 15個くらい
= 1,500個くらい

と考えられます。

もちろん、これはぴったりの数ではありません。

でも、

数十個ではなさそう。
数百個より多そう。
千個を超えるくらいかもしれない。

という見当がついてきます。

フェルミ推定では、この「くらい」が大切です。
「くらい」は、見当がつきにくいものを、考えられる形にするための見方です。

物理や工学の学習でも、フェルミ問題は order of magnitude estimates、つまり桁や大きさの見当をつける問題として扱われます。LibreTextsでは、フェルミ問題を、厳密な値ではなく、どのくらいの大きさかを見積もる考え方として説明しています。

なぜ「見当をつける」ことが大事なのか

「多そう」
「大きそう」
「かなりありそう」

このような感覚だけでは、比べたり、判断したり、次に何をするかを考えたりしにくいことがあります。

でも、

30くらいなのか。
300くらいなのか。
3000くらいなのか。

その見当がつくと、ものごとは考えやすくなります。

たとえば、イベントに人が「多そう」だとしても、30人くらいなのか、300人くらいなのか、3000人くらいなのかで、必要な会場も、椅子の数も、スタッフの人数も変わります。

見当をつけることは、勘で適当に言うことではありません。捉えにくいものを、自分が考えられるサイズに置き直し、そこから全体のおよその数を考えていくことです。

このプロセスによって、ぼんやりしていた対象が、考えられる対象に変わっていきます。

「どのくらい?」と考えるとき、思考のOSが働いている

「どのくらい?」と見当をつけることは、考える力そのものです。

目の前のものをそのまま眺めるだけでなく、
考えられるサイズに置き直す。
およその数で捉える。
そこから全体へ広げて考える。

この一連のプロセスには、ものごとを捉え、整理し、数量で考える土台が働いています。

SheSTEMでは、こうした考える力の土台を 思考のOS と呼んでいます。

フェルミ推定は、思考のOSがどのように働くのかを体感しやすい例のひとつです。

「多そう」
「大きそう」
「よく分からない」

そこで止まらず、まずは自分が考えられるサイズから、
「このくらいかな?」
と見当をつけてみる。

その小さな一歩が、ものごとを自分で考える入口になります。

まとめ:まずは「どのくらいかな?」と考えてみる

フェルミ推定は、一見そのままでは捉えにくい数を、自分が見当をつけられるサイズに置き直し、そこから全体のおよその数を考えていく思考法です。

正確な数字がすぐに分からない場面でも、

考えられるサイズまで置き直す。
「このくらいかな?」と見当をつける。
そこから全体へ広げて考える。

そうすることで、

「多そう」
「大きそう」
「よく分からない」

と感じていたものが、考えられる対象になっていきます。

「このくらいかな?」と見当をつけることから、考えることは始まります。

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