実行ロジック機能とは?料理で育つ「目的に向かって進める力」

料理は、子どもの考える力を育てる身近な場面です。
SheSTEMでは、子どもの考える力の土台を 6つの思考のOS として整理しています。
その中のひとつが、実行ロジック機能です。
実行ロジック機能とは、状況や条件、情報に基づいて、目的に向かって思考を進める力です。
料理は、手を動かす前から思考が始まっている
夕飯づくりの前には、こんな問いが自然に頭に浮かびます。
「今日は何にしよう」
「何分で出せるかな」
「今日は作れるかな」
このとき考えているのは、献立だけではありません。
冷蔵庫に何があるか。
使える時間はどれくらいか。
自分の体力は残っているか。
家族は何を食べられそうか。
こうした条件を見ながら、今日の食事をどう成立させるかを考えています。
全部作る日もあります。
一品だけ作る日もあります。
冷凍食品を使う日もあります。
買って帰る日もあります。
ここで働いているのは、今日の状況を見て、目的に向かう形を決める力です。
実行ロジック機能とは、目的に向かって思考を進める力
SheSTEMでいう「実行ロジック機能」とは、状況や条件、情報に基づいて、目的に向かって思考を進める力です。
料理でいえば、目的は「今日の食事を成立させること」です。
そのために、今ある材料、使える時間、自分の体力、家族の状況を照らし合わせながら、今日の進め方を決めています。
SheSTEMの
思考のOS
は、子どもに必要な考える力の土台を整理したものです。
実行ロジック機能は、その中でも「目的に向かって、どのように進めるか」を考える力に関わります。
料理には、2つの実行ロジック機能がある
料理の中で働く実行ロジック機能は、大きく2つに分けられます。
1. 始める前の実行ロジック機能
今日の条件を見て、何を作るか、どこまで作るか、どんな形で食事を成立させるかを決める力です。
2. 始めた後の実行ロジック機能
複数の作業を、順番やタイミングを考えながら進める力です。
同じ料理でも、始める前と始めた後では、頭の中で行っている思考が少し違います。
始める前の実行ロジック機能:今日の進め方を決める
料理を始める前には、まず今日の条件を見ています。
材料はあるか。
時間はあるか。
自分の体力はどうか。
家族の予定や食べる量はどうか。
そして、その条件をもとに、今日の食事の形を決めています。
今日は全部作る。
今日は一品だけ作る。
今日は冷凍食品を使う。
今日は買って帰る。
これは、料理をするかどうかの単純な判断ではありません。
今日の状況を見て、目的に向かう形を決める思考です。
始めた後の実行ロジック機能:順番とタイミングを考える
作るものが決まった後にも、実行ロジック機能は働いています。
たとえば、おかずを3品つくるとき。
何から始めるか。
何を同時に進めるか。
どのタイミングで仕上げるか。
料理中には、切る、煮る、炒める、盛りつける、洗うなど、いくつもの作業があります。
時間がかかるものは先に始める。
煮ている間に野菜を切る。
炒めものは食べる直前に仕上げる。
使い終わった道具は、途中で片づける。
このとき頭の中では、作業の順番やタイミングを考えながら、目的に向かって進めています。
実行機能とは、目的に向かって行動を調整する脳の働き
実行ロジック機能を考えるうえで参考になるのが、脳科学や発達心理学で使われる「実行機能」という考え方です。
Harvard Center on the Developing Childの実行機能に関する解説 では、実行機能は、脳の中の「航空管制システム」のように、情報を管理し、意思決定し、先を見通して計画する力として説明されています。
つまり、実行機能は、目の前の情報を見ながら、目的に向かって行動を調整する働きです。
料理では、この働きがとても具体的に表れます。
今日の条件を見て、食事をどう成立させるかを決める。
作るものが決まったら、順番やタイミングを考えて進める。
途中で状況が変われば、進め方を調整する。
料理は、実行機能を使う活動として研究でも扱われている
料理と実行機能の関係は、研究の中でも扱われています。
たとえば、 「The cooking task: making a meal of executive functions」 という論文では、料理には、マルチタスク、計画、将来の行動を覚えておく力、目標を保ちながら作業を完了させる力など、複数の実行機能が必要だと説明されています。
料理では、ひとつの作業だけを見ているわけではありません。
火にかけているものを気にしながら、次の材料を準備する。
全体の完成時間を考えながら、今やることを選ぶ。
予定と違うことが起きたら、進め方を調整する。
こうした動きは、目的に向かって考えを進める力そのものです。
SheSTEMの思考のOSとして見る「料理」
SheSTEMの 6つの思考のOS は、子どもが学びや体験の中で使っている考える力の土台を整理したものです。
料理の場面では、実行ロジック機能がとても見えやすくなります。
始める前には、条件を見て、今日の方針を決める。
始めた後には、順番やタイミングを考えて進める。
途中で状況が変われば、進め方を調整する。
料理は、子どもにとっても、思考のOSにふれる身近な入口になります。
子どもに問いかけるなら、何を聞くとよいか
料理を通して子どもに考える力を育てたいとき、大切なのは、完璧に手伝わせることよりも、考える場面にふれることです。
たとえば、こんな問いかけができます。
「今日は冷蔵庫に何があるかな?」
「先に始めたほうがよさそうなのはどれ?」
「待っている間にできることはあるかな?」
「最後に出したいものはどれかな?」
こうした問いかけは、料理の正解を教えるためのものではありません。
子どもが、条件を見て考えること、順番を考えること、目的に向かって進めることに気づく入口になります。
料理の中にある、考える力の入口
料理は、家事であると同時に、考える力に出会える身近な場面です。
今日の条件を見て、どうするかを決める。
作ると決めたものを、どんな順番で進めるかを考える。
状況に合わせて、進め方を調整する。
こうした毎日の小さな判断や段取りの中に、子どもの思考のOSを育てるヒントがあります。
まとめ:料理は、目的に向かって考える力に出会える場面
実行ロジック機能は、特別な学習の時間だけで育つものではありません。
料理のような身近な生活の中にも働いています。
目的に向かって、状況を見て、進め方を考える。
その積み重ねが、子どもの考える力の土台につながっていきます。

