親が学ぶアンコンシャスバイアス|第2部 選び直す編

親のアンコンシャス・バイアス(無意識の偏り)に気づき、声かけを選びなおすイメージ|SheSTEM Japan

自分のバイアスワードを「選びなおす」

アンコンシャス・バイアス(無意識の偏り)は、誰にでも自然に起きる脳の働きです。
だから「ゼロにする」ことはできませんし、それが目的ではありません。
子どもの可能性に関わる場面で、必要なときにいったん立ち止まり、言葉を選びなおせる状態をつくります。

今回のテーマは「選びなおす」

第1部の「気づく」は、反射で出そうになる言葉に、いったん気づいて止まるための土台でした。
第2部はその続きとして、止まれたあとに何を言うかを、具体的に準備します。

流れ
気づく(まず止まる) 選びなおす(言葉を変える) 子どもの選択肢が広がる

「選びなおす」とは何をすること?

ここで言う「選びなおす」は、気持ちを押し殺したり、丁寧な言葉を頑張ったりすることではありません。
子どもに何かが起きた場面で、反射で出そうになった一言をいったん脇に置き、子どもが次に動ける言い方を選ぶことです。

そのために必要なのは「正しい言葉」よりも、再現しやすいです。型があると、疲れていても戻れます。

なぜ“その場”で選びなおせないのか(脳の仕組み)

忙しいとき、焦っているとき、感情が動いているとき。
こういう場面ほど、脳は省エネモードになり、「いつもの反応」で処理しようとします。

つまり、バイアスは「性格」ではなく「条件」で強く出ます。無意識で反射的。だから出やすい条件に、あらかじめ備える設計のほうが現実的です。

バイアスが出やすい条件

  • 時間がない
  • 疲れている
  • 感情が動いている(イライラ、焦り、不安)
  • 締め切りが近い、余裕がない
  • 集中が切れている

第2部では、「気づいたあとに何を言うか」を先に用意することを学んでいきます

選びなおしの中心は「事実 → 次の一手」

選びなおしは長い説明より、短い一言のほうが通ります。
家庭で使いやすい型は、とてもシンプルです。

型(公式)= 事実 + 次の一手

事実:ラベルではなく、観察できること。
次の一手:子どもが動ける、具体的な1アクション。

事実は「評価」ではなく「実況」です。次の一手は「1回に1つ」。これが崩れないだけで、声かけの質が変わります。

家庭版If-Then(先に脚本を用意する)

心理学では、If-Thenの形で「もし○○なら(If)、私は△△をする(Then)」と決めておく方法を 実行意図(Implementation Intention)と呼びます。

ここで大事なのは、頭で「気をつけよう」と思うことではなく、そのシーンが来たときに気づけるように、言い方を先に決めておくことです。
先に脚本があると、想定していた場面が来た瞬間に「あ、ここだ」と止まれて、そのまま選びなおしに移れます。

家庭版If-Thenの作り方

  • If(合図):反射が出やすい場面を一つ決める(朝の支度、提出物、おもちゃ売場など)
  • Then(反応):型(事実+次の一手)で、一言を用意する

テンプレート(3行で作る)

この3行を埋めれば、家庭の脚本になります。

シーン(If):
出やすい一言:
選びなおし(Then:事実 → 次の一手):

3つのシーン:脚本例

まずは、言いがちなバイアスワード1つから、脚本をつくってみましょう。

シーン1:朝の支度(年齢ラベルが出やすい)

If(合図):朝、出発前。準備が進んでいない。

出やすい一言:「もう小学生なんだから、自分でやりなさい」

選びなおし(事実 → 次の一手)
事実:「あと10分だね。まだ準備が始まってない。」
次の一手:「まず、今日使う教科書をランドセルに入れよう。」

シーン2:提出物(規範ラベルが出やすい)

If(合図):夜や締め切り直前。提出物が出てきた。

出やすい一言:「ふつうは、帰ったらすぐ出すでしょ」

選びなおし(事実 → 次の一手)
事実:「もう夜10時だね。」
次の一手:「今日は『今書けるところだけ』一緒にやろう。」

この場面の目的は説教ではなく、「いまここで次に進める形」にすることです。

シーン3:おもちゃ売場(性別バイアスが出やすい)

If(合図):売場で、娘が工具セットを選ぶ。

出やすい一言:「女の子なんだから、そういうのはやめなさい」

選びなおし(事実 → 次の一手)
事実:「それが欲しいのね。」

次の一手は2パターン(目的で使い分け)

  • パターンA(問いで広げる):「お家のどこを直したいのかな?」
  • パターンB(選択肢で絞る):「今日は1つだけ。人形と工具セット、どっちにする?」

子どもが動ける次の一手を「1回に1つ」だけ渡すことがコツです。

よくあるつまずきと、言い方のコツ

つまずき1:説明が長くなる

長いほど、子どもは動けなくなります。
「事実」を一言、「次の一手」を一つ。それだけで十分です。

つまずき2:つい評価やラベルが混ざる

「いつも」「普通」「なんでできないの」などは評価になりやすい言葉です。
一度、実況(観察できること)に戻すと、言い方が整います。

つまずき3:その場で作ろうとして苦しくなる

反射が強い場面ほど、その場で作るのは難しいです。
よく起きる一場面だけ決めて、フレーズを一つ用意する。これが最短ルートです。

この記事のまとめ(次にやること)

第2部の「選びなおす」は、意識や頑張りの話ではなく、先に脚本を用意する話です。
型は「事実+次の一手」。そして次の一手は「1回に1つ」です。

次にやること(最小ステップ)

  • よく起きるシーンを一つだけ決める
  • その場で出やすい一言を一つ書く
  • 型(事実+次の一手)で、選びなおしフレーズを一つ作る
  • 1週間、同じフレーズを試す

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
「気づく(まず止まる)」の土台を確認したい方は、上の「気づく編の記事」もあわせてどうぞ。 言葉は一度で完璧にならなくて大丈夫です。家の中で回る形にしていきましょう。

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