算数オリンピックの良問で鍛える:対称性×立体感覚×数の性質――迷子にならない整理のしかた

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問題

立方体の8つの頂点に、1〜8の数字を1回ずつ入れる。

立方体のどの面も、4つの頂点の数字の和が同じになるように入れるとき、図のAに入る数字を求めよ。
ただし、1は(図の場所に)すでに入っている。

(答えは1つとは限らない)

算数オリンピック問題①:立方体の頂点に1〜8を入れ、各面の和が等しい。Aに入る数字を求める図

関連動画(同じ問題を別ルートで解説)

この記事では、この問題を「整理して解く」ルートで解説しています。 でも、同じ問題でも、解き方は1つではありません。 動画では、別の角度から解き進めていきます。

同じ問題をいろんな角度で研究しておくと、 次に似た問題に出会ったときに、迷子になりにくくなります。 「問いを立てる」「立て直す」練習にもつながります。

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見どころ

  • 迷子になりやすい理由を整理
  • 動く情報を減らす「2つの問い」
  • 数の条件 → 立体として成立するかで確認

考え方の道すじと、子どもの頭の中で起きていること

この問題は、立方体の8つの角に1〜8を1回ずつ入れ、どの面も「4つの角の和」が同じになるようにするものです。
ねらいは、立体の基本構造(角・辺・面の関係)をつかみ、対称性や数の性質(数え上げ・場合分け・排除)で整理していく力を育てることにあります。

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ステップ 解き方 頭の中で起きていること/つまずきポイント/求められる力
0

条件を整理する(立体の見取り図を頭に置く)

  • 立方体の角(頂点)は8個。
  • 1〜8を1回ずつ、8つの角に入れる。
  • どの面も、4つの角の和が同じになる。
  • Aは「1と向かい合う角」(同じ面を共有しない位置)。

頭の中で起きていること
「置き方」に入る前に、角・辺・面の関係と、Aと1の位置関係をはっきりさせる。

つまずきポイント
図を見たまま試行錯誤に入り、根拠のある整理に戻れなくなる。

求められる力

  • 空間根拠力:角・面の関係、Aと1の位置関係を頭に置き続ける力。
1

1つの面の和を先に決める(18)

  • 1+2+3+4+5+6+7+8=36
  • 立方体の1つの角には面が3枚集まる。よって、どの数字も面の和づくりに3回登場する。
  • 6面の和を全部足した総合計=36×3=108
  • 6つの面はすべて同じ和なので、1面の和=108÷6=18
立方体の角には面が3枚集まるため、各数は面の合計づくりに3回登場する(36×3のイメージ図)

各頂点の数字は、面の合計づくりに「3回」登場します

頭の中で起きていること
「置き方」ではなく「数え方」で全体を見ている。立方体の対称性を使って、配置に関係なく決まる数字を固定する。

つまずきポイント
36×3の意味がぼやける(“3回登場”のイメージが弱い)。108÷6が「同じ和が6回分」という意味につながらない。

求められる力

  • 数量・数理の中核:合計を「回数」で捉える(36×3、108÷6)。
  • 空間根拠力:角に面が3枚集まる構造を保ちながら数える。
2

「1を含む面」3枚にズームする(見る範囲を一気に狭める)

  • 1は角に入る。
  • 角には面が3枚集まる。
  • よって、1を含む面は必ず3枚。
  • ここからは「1のまわりの3面」に注目して考える。

頭の中で起きていること
6面全部を追うのをやめ、「1の周り」という小さな範囲にズームして、迷子になるのを防いでいる。

つまずきポイント
どこから手をつけるべきか分からず、配置の試行錯誤に戻ってしまう。

求められる力

  • 空間根拠力:角→面3枚の構造を使って、注目点を固定できる。
  • 実行ロジック機能(補助):対象を絞って情報量を減らす。
3

「1を含む面」の候補を作る準備(残り3つの和=17)

  • 面の和は18。
  • 1を含む面では、残り3つの和=18−1=17。
  • まず探すのは「面そのもの」ではなく、1以外の3つの数の組(合計17)
  • 合計17の3つ組が見つかったら、そこに1を足して面の4つ組にする。

頭の中で起きていること
立体の条件(面の和が18)を、足し算の条件(1以外が17)へ変換して扱いやすくしている。

つまずきポイント
「合計17の3つ組」と「面の4つ組(1を足したもの)」が混ざり、何を集めているか分からなくなる。

求められる力

  • 数量・数理の中核:条件を引き算で変形し、扱いやすい形にする(18−1=17)。
  • 意味表現力(補助):「3つ組/4つ組」を言葉で区別して進める。
4

合計17の3つ組を「漏れなく」出す(最大の数に注目)

  • ここで、「7と8を選ばない(=使えるのは1〜6だけ)」とすると、3つの和の最大は 6+5+4=15。
  • でも、1を含む面では「残り3つの和=18−1=17」が必要なので、最大でも15では17に届かない(=17を作れない)。
  • したがって「7と8を選ばない」は不可能。よって、合計17の3つ組には必ず7か8が入る

(1)8が入る場合

  • 残り2つの和=17−8=9
  • 9になるペア: (2,7), (3,6), (4,5)
  • それぞれに8を足して3つ組: (2,7,8), (3,6,8), (4,5,8)

(2)7が入る場合(8を使わない場合)

  • 残り2つの和=17−7=10
  • 10になるペア: (4,6)
  • 7を足して3つ組: (4,6,7)

合計17の3つ組(全部)

(2,7,8) (3,6,8) (4,5,8) (4,6,7)

1を足して「1を含む面」の候補(4つ組)にする

(1,2,7,8) (1,3,6,8) (1,4,5,8) (1,4,6,7)

頭の中で起きていること
勘ではなく上限(6+5+4=15)で「必ず7か8」を確定し、探す範囲を狭めている。
さらに「ペア→付け足し」で候補を部品化し、漏れなく集めている。

つまずきポイント
「8が入るはず」と決め打ちし、(4,6,7) を落としてしまう。
(2,7) → (2,7,8) が「部品を足して組み立てている」作業だと分からず、行の意味が途切れる。

求められる力

  • 数量・数理の中核:上限でしぼり、場合分けで漏れなく列挙する。
  • 実行ロジック機能:「最大→残り→ペア→付け足し」の順で段階化する。
  • 構造視覚推論:ペアを部品として扱い、組み立てる構造を保つ。
5

立体のルールで「同時に成り立たない」を排除する

  • 1を含む面は3枚なので、候補4つ組から3つを選ぶ。
  • (1,2,7,8)、(1,3,6,8)、(1,4,5,8) はどれも「1と8が同じ面」にある。
  • この3つを同時に選ぶと、1のまわりの3面すべてに8が登場してしまう。
  • しかし、1のまわりの3面が共通にもつ角は「1」だけ。別の数字(8)が3面すべてに同時に入ることはできない。
  • よって、8を含まない唯一の候補 (1,4,6,7) は必ず入る。

残り2面の選び方(3通り)

  • (1,2,7,8) と (1,3,6,8) と (1,4,6,7)
  • (1,2,7,8) と (1,4,5,8) と (1,4,6,7)
  • (1,3,6,8) と (1,4,5,8) と (1,4,6,7)

頭の中で起きていること
ここからは足し算ではなく、面どうしの交わり方(共通に持てる角は1つ)という立体の構造で「不可能」を消している。

つまずきポイント
「同じ面に入れる」ことと「同時に成立する」ことを混同し、8入り3面を選んでしまう。
立体の共通部分(3面の共通は1点)がイメージできないと、理由が腑に落ちにくい。

求められる力

  • 構造視覚推論:面の交わり(共通は1点)という構造で可否を判断する。
  • 空間根拠力:面どうしの重なり方を頭の中で保つ。
6

Aは「残った数字」で決まる(配置を完成させない)

  • Aは1と向かい合う角なので、1を含む3面には入らない。
  • よって、上で決めた「1を含む3面」に出てくる数字は1〜8のうち7個。
  • その7個に入っていない残り1個がA。

3通りを調べる

  • (1,2,7,8)・(1,3,6,8)・(1,4,6,7) → 出ない数 5 → A=5
  • (1,2,7,8)・(1,4,5,8)・(1,4,6,7) → 出ない数 3 → A=3
  • (1,3,6,8)・(1,4,5,8)・(1,4,6,7) → 出ない数 2 → A=2

まとめ:A=2,3,5

頭の中で起きていること
置き方を完成させずに、位置関係(Aは1と面を共有しない)から「出る数・出ない数」で決め切っている。

つまずきポイント
Aを「どこかの面に出る数字」だと思い込み、配置を最後まで作ろうとしてしまう。
7個の集合を作るときに、重複や見落としで混乱する。

求められる力

  • 数量・数理の中核:「出る7個/出ない1個」の集合整理で確定する。
  • 空間根拠力:Aが1と面を共有しない位置だと捉え、判断に使う。
  • 実行ロジック機能(補助):目的(Aだけ)に合わせて手順を短縮する。

答え

A=2、3、5

もう一度:押さえるポイント

  • 面の和は必ず18
    1+2+3+4+5+6+7+8=36。各頂点の数字は面に3回登場するので、6面の合計は36×3=108。よって1面は108÷6=18。
  • 「1を含む面」は必ず3枚
    頂点には面が3枚集まるため、1の周りの3面に注目して考える。
  • 1を含む面は「残り3つが17」
    面の和が18なので、1を含む面では1以外の3つの和は18−1=17。
  • 合計17の3つ組は4通りだけ
    上限(6+5+4=15)から、必ず7か8が入る。結果として、(2,7,8)、(3,6,8)、(4,5,8)、(4,6,7)。 そこに1を足して、1を含む面の候補は4つ:
    (1,2,7,8)、(1,3,6,8)、(1,4,5,8)、(1,4,6,7)。
  • 立体のルールで「同時に無理」を消す
    1の周りの3面が共通にもつ角は1だけ。だから、8が3面すべてに同時に入る形は作れない。
    その結果、8を含まない (1,4,6,7) は必ず入る。
  • Aは「1の周りの3面に出ない数字」
    Aは1と向かい合う角なので、1を含む3面には入らない。よって、選んだ3面に出てこない数字がA。
    3通りを調べると、A=5、3、2となる。
算数オリンピック問題①の解答図:Aに入る数の例(A=2,3,5)
立体の補助イラスト:頂点と辺の位置関係(点線は見えない辺)を示す図

関連動画(同じ問題を別ルートで解説)

この記事では、この問題を「整理して解く」ルートで解説しています。 でも、同じ問題でも、解き方は1つではありません。 動画では、別の角度から解き進めていきます。

同じ問題をいろんな角度で研究しておくと、 次に似た問題に出会ったときに、迷子になりにくくなります。 「問いを立てる」「立て直す」練習にもつながります。

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見どころ

  • 迷子になりやすい理由を整理
  • 動く情報を減らす「2つの問い」
  • 数の条件 → 立体として成立するかで確認

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迷子になったときに大事なのは、「次に何を調べればいい?」を自分で作れることです。 家庭でできる「問いの作り方」を、こちらの記事でまとめています。

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今回の問題で育つ「思考のOS」

この問題は、立体の図を見て終わりではありません。
立方体の構造(角と面の関係)を手がかりにしながら、数の性質(同じ和・登場回数)で条件を固定し、 組み合わせ(漏れなく候補を出して、ありえないものを消す)で整理して答えにたどり着きます。

  • 空間根拠力:「1つの角には面が3枚集まる」「Aは1と向かい合う角」など、立体の位置関係を頭に置き続ける力。
  • 数量・数理の中核:36×3や108÷6のように、合計を“回数”で捉えて条件を一気に決める力。
  • 構造視覚推論:「ペア→3つ組→4つ組」と部品として組み立て、候補の構造を崩さずに整理する力。
  • 実行ロジック機能:ズームする(1の周りに絞る)→場合分けする→排除する、の手順で迷子にならずに進める力。

「できた/できない」よりも、「どこに着目して、どう整理したか」を言葉にできると、同じタイプの問題に強くなります。

さらに、図形が苦手になりやすい子ほど、「頭の中で回す」練習を短く積み重ねると変わりやすいです。
1回10分・全12回(4週間)の回転力トレーニングで、目印の固定→更新→戻り方の型を身につけます。

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