中学受験良問で鍛える思考のOS『対称で構造化』

この問題は、斜線の形をそのまま追いかけると、途中で見失いやすい問題です。
まず「迷子になっている」と気づき、図全体を俯瞰します。
そこで「この図は対称(たいしょう)が使えるかもしれない」と仮説を立て、
対称を手がかりに、同じ形が繰り返し現れる構造として整理できるかどうかがポイントです。

進め方は次の3段階です。
① 中心Oを基準に、対称になっている関係に気づく
② 対称を使って、同じ形を「何個分あるか」で整理する
③ 円全体の面積から、必要な部分を式で取り出す

問題

点Oを中心、半径8cmの円があります。図の斜線部分の面積を求めなさい(円周率は3.14)。

この問題の作戦
  • 対称に気づいて、「同じ形が出る場所」を先に見つける
  • そろったら、同じ形が何個分あるかで数える
  • 最後は、円ぜんぶ=パーツの合計を式にして答えを出す
中大付属中2022 問題図:点Oを中心とする半径8cmの円と斜線部分
1

中心Oを手がかりに「対称」を使う

ステップ1:中心Oを手がかりに対称を使い、4cmの位置をそろえて円の中を整理する

最初に斜線だけを追って面積を出そうとすると、考えが止まります。そこでまず、図全体を俯瞰し、この円をどう整理して見ればよいかを先に決めます。

まず使うのは、円は左右・上下で対称という性質です。中心を通って縦に半分、横に半分に分けても、向かい合う位置では、形や大きさの関係がそろいます

その中心が点Oです。
Oを動かさない基準にすると、円の中を右上・左上・右下・左下の4つとして、対応する位置どうしで見られるようになります。

次に、Oのまわりに4cmが示されていることに着目します。
図を見ると、中心Oから右に4cm下に4cmの位置に、すでに線が引かれています。
ここから、中心Oから4cmという距離を、円の中に区切りをそろえるための基準として使うと考えます。

円がOを中心に左右・上下で対称なら、右と下だけに区切りがある状態では、対称として同じ見方を保つことができません。
そこで、右に4cmの区切りがあるなら、その対称となる左側に4cmの区切りをそろえます。
下に4cmの区切りがあるなら、その対称となる上側に4cmの区切りをそろえます。

こうして、Oからの距離と向きをそろえたときに、
円の中を対称を手がかりに対応づけて見られる形になるかどうかを確かめながら、図全体を組み直していきます。

子どもの頭の中で起きていること
  • 斜線を追って考え始めるが、途中で手が止まる
  • 円は左右・上下で対称だと思い出す
  • 中心Oを基準にして、右上・左上・右下・左下を対応させて見る
  • 図にある「右に4cm」「下に4cm」の線を手がかりに、反対側も同じ距離・同じ向きでそろえる
  • 円の中を、決まったパーツでできた形として整理して見えるようになる
  • まん中の8cm×8cmの正方形に気づく
つまずきやすいポイント
  • 斜線を追い続けて、円の対称性に戻れない
  • Oを基準にして見ないため、上・下・左・右がそろわない
  • 「右に4cm」「下に4cm」の線を手がかりにできず、反対側まで同じ区切りをそろえられない
  • 円の中をパーツに分けて整理できず、全体像がつかめない
  • 真ん中の正方形に気づけず、基準の形が立たない
ここで使う思考のOS
  • センサーモニター: 斜線をそのまま追いかけても考えが進まないことに気づき、図に示されている手がかり(中心O、4cm、右・下に引かれている線)に目を向け直す
  • 空間根拠力: Oを動かさない基準にして、Oから4cmの位置を、左右・上下で同じ距離・同じ向きにそろえ、位置関係を保つ
  • 構造視覚推論: 対称を守るように区切りをそろえ、円の中を「いくつかの決まったパーツでできた形」として捉え直す
今回の「対称でそろえる」「同じ形を束ねる」は、回転力トレーニングで繰り返し練習できます。🔗

図を動かさずに、頭の中で向きや位置をそろえて判断する練習を積むと、
問題を見たときに「まず基準を置く」が迷いにくくなります。

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2

同じ形を「何個分」でそろえる

❶は4個分、❷も4個分。円全体を構造としてまとめる

ステップ2:❶が4個、❷が4個、正方形で円全体を構成していることを示す図

Oを中心に左右・上下の対称をそろえて見ていくと、正方形の外側でも、向かい合う位置どうしが対応します。
そこで、右上にある❶を基準にすると、対称の関係で左上・右下・左下にも同じ形が現れ、❶と同じ形は4か所あると数えられます。
同じように、❷も対称の位置にくり返し現れるため、❷と同じ形も4か所あると数えられます。

次に、中心Oのまわりに4cmの区切りを左右・上下でそろえて見ると、円のまん中に8cm×8cmの正方形ができます。
こうして、円の中は ❶が4個分+❷が4個分+まん中の正方形 という形で、全体をひとまとまりの構造として押さえられます。

子どもの頭の中で起きていること
  • ❶や❷を1つずつ追って考えようとして止まる
  • 対称を手がかりに、同じ形がくり返し現れることに気づき、「❶は4つ、❷も4つ」と数え直す
  • まん中の正方形も含めて、円の中を「くり返し+中心」で全体として押さえる
つまずきやすいポイント
  • ❶と❷を別々のものとして追い続け、対称の対応に戻れない
  • 「4個分」と数えられても、どこが対応しているかを確認せずに進めてしまう
  • 中心の正方形まで含めて全体をまとめきれず、円の構造が途中で止まる
ここで使う思考のOS
  • 構造視覚推論: 対称の関係で同じ形がくり返し現れることを確認し、
    ❶×4・❷×4・正方形という 円全体の構造としてまとめる
3

円ぜんぶから式で出す

まず、円の半径が8cmなので、円全体の面積は式で確定できます。

円ぜんぶ = 8 × 8 × 3.14 = 200.96(㎠)

そして、図に戻ります。

対称を使って考えたら、円の中は❶が4個分、❷が4個分、そしてまん中の正方形でした。

図の構造をそのまま写した式

200.96 =(❶ × 4)+(❷ × 4)+(8 × 8)

200.96 = 4 ×(❶+❷)+ 64

200.96 − 64 = 4 ×(❶+❷)

136.96 = 4 ×(❶+❷)

ここで、もう一度図を見直します。
斜線は、❶と❷が4つ分すべてではなく、
左右(または上下)の半分だけが塗られています。

斜線に対応する式

136.96 ÷ 2 = 2 ×(❶+❷)

68.48 = 2 ×(❶+❷)

この図で求めたい斜線部分は、(❶+❷)が2セット分なので、
答え:68.48㎠

子どもの頭の中で起きていること
  • 円ぜんぶの面積は、まず数字として出せる
  • 斜線は円ぜんぶではないので、図に戻る
  • ❶と❷が同じ形で4つずつあることを確認する
  • 式にすると、4 ×(❶+❷)まで出る
  • 図を見直し、斜線はその半分だと対応を直す
  • 2 ×(❶+❷)に対応づけて確定する
つまずきやすいポイント
  • 対称で同じ形だと確認できずに終わる
  • 4 ×(❶+❷)まで出したところで、図に戻らず確定してしまう
  • 「全部」と「一部」の対応を取り違える
ここで使っている思考のOS
  • 空間根拠力: 対称でそろえた対応関係を崩さずに保ち、図のどの部分を扱っているかを固定する
  • 構造視覚推論: ❶×4・❷×4・まん中の正方形という構造で円全体を捉え、必要な部分を式として組み立てる
今回の「対称でそろえる」「同じ形を束ねる」は、回転力トレーニングで繰り返し練習できます。🔗

図を動かさずに、頭の中で向きや位置をそろえて判断する練習を積むと、
問題を見たときに「まず基準を置く」が迷いにくくなります。

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6つの思考のOS(全体ガイド)

気づく力/空間根拠力/構造視覚推論/実行ロジック機能/数量・数理の中核/意味表現力を、1ページにまとめています。

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