国際女性デーに考える

国際女性デーに考えるガールズエンパワメントコラム記事

ガールズエンパワメントのために、家庭でできること

2023年、米国の調査機関ROX(Ruling Our eXperiences)は、5〜12年生の女子約17,500人を対象にした調査 The 2023 Girls’ Index を公表しました。

ROXはこの調査を通じて、女の子たちが「どう感じているか」だけでなく、どのような条件のもとで判断や行動を選ばされているかを整理しています。

  • The 2023 Girls’ Index by ROX(調査レポート全文)
  • ROXが整理している、女の子を取り巻く4つの状況

    ROXはレポート全体を通して、女の子たちの回答を次のような観点で分析しています。

    • 日常的に感じているプレッシャー
    • 他者との関係性の中での振る舞いの調整
    • 周囲から期待されていると感じる役割
    • それらが自己認識に与える影響

    そのうえで、以下の結果を示しています。

    79%
    「爆発しそうなくらいのプレッシャーを感じている」
    76%
    「同年代の男子は女子に敬意を払っていないと感じる」
    66%
    「好かれたいから、反対意見を言わないことがある」
    55%
    「リーダーになるのが怖い。ボスっぽいと思われたくないから」

    ROXはこれらの結果を、
    個人の内面特性ではなく、日常的な対人環境の特徴として整理しています。

    ROXの分析が示していること

    ROXはレポートの中で、女の子たちの行動選択について次の点を指摘しています。

    • 多くの女の子が、自分の考えそのものより、関係性への影響を先に考えて行動している
    • 意見表明やリーダーシップが、評価やラベルと結びついて認識されやすい
    • その結果、「どう振る舞うか」の判断基準が、周囲の期待に強く依存する

    ROXは、これを「confidence(自信)」の問題としてではなく、
    social pressure and expectations(社会的圧力と期待)の影響として位置づけています。

    外部の基準が「物差し」になるとき、何が起きるか

    ROXの調査結果を並べると、女の子たちの判断には共通した前提が見えます。

    • どう思うか、より
    • どう見られるか
    • どう評価されるか
    • 関係性がどう変わるか

    が先に置かれている、という点です。

    このように、外部の評価や期待が判断の物差しになる状況では、行動は「自分の基準」ではなく、「期待に合うかどうか」で選ばれやすくなります。

    ここで影響するのが、アンコンシャス・バイアス

    ROXはレポート内で、女の子たちが感じている「期待」や「役割」が、社会的に共有されているイメージや前提と結びついていることを示しています。

    たとえば、

    • 強く出るとどう見られるか
    • 率いる立場に立つと、どんなラベルがつくか
    • 「女の子らしさ」から外れたとき、どう評価されるか

    こうした予測は、誰か一人が意図的に押しつけているものではなく、周囲に共有されている無意識の前提によって形成されます。

    これが、アンコンシャス・バイアスです。

    ROXの調査結果にある
    「好かれたいから反対意見を言わない」
    「ボスっぽく見られたくないからリーダーを避ける」
    という回答は、
    外部のバイアスを前提にした判断として整理できます。

  • アンコンシャス・バイアス解説コラム(第1部)
  • アンコンシャス・バイアス解説YouTube動画(第1部)
  • 「女の子らしさ」が判断条件になるとき

    ROXは、女の子たちが感じている期待の中に、

    • 協調的であること
    • 強く出すぎないこと
    • 関係性を壊さないこと

    といった要素が含まれていることを示しています。

    これらは個人の価値観というより、
    「女の子ならこう振る舞うべき」という共有イメージに基づくものです。

    このイメージが判断条件になると、行動の選択は自然と制限されます。

    ガールズエンパワメントを家庭で考えるときの論点

    ROXの調査結果を踏まえると、家庭で考えるべきガールズエンパワメントの論点は、

    • どんな経験を与えるか
    • 何に挑戦させるか

    といったことではありません。

    女の子が迷ったり、選んだり、判断したりする場面で、
    どんな基準で考えるよう促しているか
    その基準を家庭がどう扱っているか、という点です。

    家庭は、外部の基準や期待が強く働く社会環境の中で、それを再確認する場にも、一度立ち止まって扱い直す場にもなり得ます。

    家庭でできる、具体的な関わり方

    ① 判断の前提を言語化する

    「今、何を基準に考えている?」

    「誰の目を一番気にしている?」

    基準そのものを話題にします。

    ② 評価を加えず、選択肢を整理する

    ✕「それは良くない」

    ○「いくつかやり方があるね」

    ③ 期待や役割の話を、事実として扱う

    「そう思われそう、って感じているんだね」

    「そのイメージは、どこから来ていると思う?」

    期待やラベルを否定せず、
    判断材料の一つとして外に出す扱い方です。

    国際女性デーに、家庭で確認できること

    ROXの調査が示しているのは、女の子たちが何かを選んだり判断したりするときに、
    どんな基準や周囲の期待が、判断に影響しているかという点です。

    家庭でできることは、いったん立ち止まって、
    「何を基準に決めているのか」「周囲の期待が入り込んでいないか」を、
    言葉にして確認できる時間と会話を用意することです。

    それが、家庭でできるガールズエンパワメントの一つの形です。

    参考

      コメントを残す

      メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です