小学校から考える、女子と技術のこれから

10月2日付の日本経済新聞「経済教室・私見卓見」に、 「小学校から育てる女性理系人材」が掲載されました。。
女子の理工・技術系進路というと、中学生や高校生の文理選択、 大学の理工系学部への進学率などがよく取り上げられます。
もちろん、その段階での支援は重要です。
でも、女子が理工・技術系を「自分の選択肢ではない」と考え始めるのは、 もっと前なのではないか。
SheSTEM Japanでは、そこを考える必要があると考えています。
進路を選ぶときには、すでに選択肢ができている
高校で文理を選ぶとき、突然 「私は理工・技術系に向いているかな」と考え始めるわけではありません。
それまでに経験してきた学習。
ものをつくった経験。
何かを分解したり、比べたり、試したりした経験。
周囲の大人からかけられた言葉。
そして、「理工・技術系の仕事とは、どんな人がする仕事なのか」というイメージ。
そうしたものが少しずつ積み重なって、 進路を選ぶときの「自分の選択肢」ができています。
逆に言えば、その時点ではすでに、
「これは自分には関係ない」
「私はこっちではない」
と、本人も意識しないまま候補から外しているものがあるかもしれません。
理工・技術系の進路は、大学だけではない
もう一つ、最近強く感じていることがあります。
「女子の理工・技術系進路」というと、 大学の理工系学部への進学が中心に語られます。
でも、技術を学び、技術の仕事につながるルートは大学だけではありません。
工業高校、高専、専門学校、大学、大学院。
そしてその先には、研究開発やものづくりの技術職だけでなく、 鉄道、道路、水道、電力、建設、設備保守など、 私たちの日常を支える多くの仕事があります。
電車には毎日乗っていても、 その安全を支えている保線や電気、信号、車両、設備の仕事を 子どもが知る機会は、決して多くありません。
道路も、水道も、建物も同じです。
身近に使っているものの裏側に、 どんな技術があり、どんな人が働いているのか。
それを知るだけでも、将来の仕事の見え方は変わります。
女子が「技術をつくる側」にいること
これは、技術人材が足りないから女子にも来てもらおう、 という人材不足だけの話ではありません。
私たちは毎日、誰かが設計した製品やサービス、 交通、都市、デジタル技術の中で生活しています。
これは意外と大きな問題です。
異なる経験や視点を持つ人が技術開発や設計に加われば、
何を課題だと考えるのか。
誰にとって使いやすいのか。
何を安全と考えるのか。
そうした問いそのものが変わります。
女子が技術を使う側だけではなく、 考える側、つくる側、決める側にもいる。
その先につくられる製品やサービス、 社会の仕組みにも、多様な視点が入っていきます。
では、小学生のうちに何をするのか
小学生のうちから専門的な理系教育をすればよい、 ということではありません。
必要なのは、もっと身近なところから、
「これも科学なんだ」
「これも工学につながっているんだ」
「こういう仕事もあるんだ」
と、自分との接点を持てることだとSheSTEM Japanでは考えています。
色、形、ファッション、食べ物、乗り物、まち、自然、身近な製品。
子どもたちが普段見ているものの中には、 科学、数学、工学、テクノロジーにつながる問いがたくさんあります。
「どうしてこうなっているんだろう」
「比べると何が違うんだろう」
「もっと使いやすくするにはどうしたらいいだろう」
そこから観察し、比べ、測り、試し、考える。
さらに、その先に実際の技術や仕事があることを知る。
こうした経験が、「理系になるため」ではなく、 将来の選択肢を減らさないことにつながるのではないでしょうか。
選ぶときまで、選択肢を残しておく
すべての女子が理工・技術系に進む必要はありません。
大切なのは、自分で進路を選ぶときまで、 理工・技術系も「自分の選択肢」として残っていることです。
小学校くらいまでに、どんな経験をするか。
どんな仕事や技術に出会うか。
どんな言葉を周囲から受け取るか。
女子と技術のこれからを考えるとき、 進路選択よりもっと前にも、まだできることはあるとSheSTEM Japanでは考えています。

